「アスリートの美しさは強いだけじゃない」守谷絢子さん

「オリンピック選手って、アスリートって、かっこいいですよね」
「強くて美しい、まさに理想」
こんなイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。私自身もそう思っていました。しかし、アスリートとして活動していた頃、そのイメージがガラリと変わったんです。
アスリートの美しさは、強いだけではない。私がそう感じたのは、ある大会での出来事がきっかけでした。
私は陸上競技の短距離走選手として活動していました。ある日、大会で自己ベストを更新しました。最高の瞬間だったのですが、その時、自分の体がガタガタに震えていたんです。筋肉が限界を超えて張りつめ、歯を食いしばっても震えが止まらない。
「なんでこんなに震えるんだろう」
その時は不思議に思っていましたが、あとでわかったんです。それは、自分の限界に挑んだ結果だったから。強いだけではない、心の底から絞り出したような、限界を知った人間の美しさだったんです。
それからは、アスリートが持つ美しさの見方が変わりました。強さだけではない、努力や葛藤、苦しみに耐えて乗り越えた人間の美しさ。それは、ただ筋肉が美しいとか、外見が整っているとかいうものではないのです。
アスリートの美しさとは、強さの裏にある弱さや、苦難を乗り越えた強さ、限界を超えた人間の美しさ。それを、私はアスリートとして活動していた経験から、身をもって知ることができました。
今では、アスリートが競技で勝利を収めると、ただ単に「すごい」と思うだけではありません。彼らの強さの裏にある努力や苦悩を想像し、心から感動しています。
アスリートの美しさは、強いだけじゃない。それは、限界に挑戦し、苦難を乗り越えた人間の美しさなのです。