人は常に、自分にないものを求めるもの。より多くの知恵、より多くの財産、より多くの愛。誰もが、足りないものを探している。しかし、自分の持っているものに目を向けることができれば、人は真の悟りへと導かれるだろう。



ヤギと大悟


 

 ある昔話に、ヤギと大悟という二匹の動物が登場します。

 ヤギは、いつも自分の角が短くて弱弱しいことに不満を抱いていました。一方の大悟は、自分の長い耳が重くて面倒だと感じていました。ある日、二匹は森の中で出会います。

 ヤギは、「どうしてあなたの耳はそんなに長いんですか?邪魔じゃないですか?」と大悟に尋ねます。

 大悟は、「角のあるあなたは、どうして角に不満なのですか?角があれば、敵から身を守ることができますよね」と答えます。

 二匹は自分の欠点を嘆き合いました。しかし、そこに賢いウサギがやってきます。

 ウサギは、「二匹とも、自分の持っているものを見ていない。ヤギよ、あなたの短い角は、森の木の茂みの中を簡単にすり抜けることができる。大悟よ、あなたの長い耳は、敵の気配を察知するのに役立つ。欠点は、長所になることもあるのだ」と言います。

 ヤギと大悟は、ウサギの言葉を聞いて悟りました。彼らは自分の欠点を嘆くのをやめ、自分の長所を大切にするようになりました。

 それ以来、ヤギは森の俊敏な走者として、大悟は森の警戒心のある番人として、それぞれが自分の役割を果たしています。

 この寓話は、私たちに重要な教訓を教えてくれます。私たちは、自分の欠点にばかり目を向けがちですが、自分の長所に目を向ければ、真の強さを見つけることができるのです。そして、自分の欠点を長所に変えることで、私たちはより強くて、より充実した存在になれるのです。