劇症型溶血性レンサ球菌感染症




溶連菌感染症とは、レンサ球菌という細菌によって引き起こされる感染症です。レンサ球菌にはいくつかの種類がありますが、中でも溶血性レンサ球菌(A群連鎖球菌、GAS)による感染症が最も重篤とされています。

溶血性レンサ球菌は、喉や皮膚の傷口などから体内に侵入します。感染すると、数日から数週間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が現れます。

一般的な症状

  • 発熱、悪寒
  • 喉の痛み、腫れ
  • 発疹(主に体幹部)
  • リンパ節の腫れ
  • 筋肉痛、関節痛

重篤な合併症

溶血性レンサ球菌感染症は、まれですが、以下のような重篤な合併症を引き起こすことがあります。

  • 溶連菌性壊死性筋膜炎(NF):皮膚や筋肉の急速かつ破壊的な感染症
  • 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(TSS):全身の組織に非常に高い量の細菌が急速に増殖する感染症

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(TSS)

TSSは、溶血性レンサ球菌が産生する毒素(ストレプトリジン)が全身に急速に広がるまれで重篤な疾患です。この毒素は、血圧の低下、臓器不全、ショックを引き起こします。

TSSの症状は、溶連菌感染症の一般的な症状とは異なり、非常に急速に現れます。以下の症状が突然現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 高熱(40℃以上)
  • 発疹(ひどい日焼けのような発疹)
  • めまい、ふらつき
  • 血圧の低下

治療と予防

溶連菌感染症の治療には、抗菌薬が使用されます。TSSは非常に重篤な疾患であるため、緊急の治療が必要です。治療には、抗菌薬、輸血、人工呼吸器が必要になる場合があります。

溶連菌感染症を防ぐために、以下のような対策が有効です。

  • 手洗い
  • 喉の痛みや傷口がある場合は、人との接触を避ける
  • 感染した人の物の共有を避ける

溶連菌感染症は、早期に発見して適切な治療を受ければ、ほとんどの場合治癒します。しかし、まれに重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診してください。