堤聖也 VS 井上拓真




12年間待ち続けた瞬間が、ついに訪れた。
10月13日、角海老宝石ジム所属の堤聖也(28)は、WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28)に挑戦。この試合は、堤にとって待望の世界初挑戦の舞台でもあった。
堤と井上は、アマチュア時代から因縁のライバル関係にある。堤が高校2年生の時に井上と対戦し、判定で敗北。その後、プロ入りした堤は日本バンタム級王座を獲得するなど活躍を続け、井上との再戦を熱望していた。
試合は、序盤から激しい打ち合いとなった。堤の左ストレートが井上を捉える場面もあったが、井上も持ち前のスピードとテクニックで反撃。試合は終始接戦の展開となり、両者一歩も譲らない。
8ラウンド、堤の左ストレートが井上の顔面を捉え、井上はダウン。堤は畳みかけるように攻め込んだが、井上も意地で応戦。堤の猛攻をしのぎ切った。
最終ラウンド、堤は最後の力を振り絞って井上を攻め立てたが、井上が粘り強く耐えて最終ゴング。判定は3-0で井上。堤の世界挑戦は夢散に終わった。
試合後、涙を流した堤は「悔しいけど、井上の強さを改めて実感した。今日の試合で学んだことを糧に、また頑張って這い上がっていきたい」と語った。
井上は「堤選手は強かった。強敵と戦えて、改めてボクシングの楽しさを感じることができた」と感想を述べた。
12年間の思いをぶつけた堤の挑戦は、惜しくも届かなかった。しかし、この試合で堤が得た経験は、今後必ず彼のボクシング人生に大きな糧となるだろう。