寒露の頃に、私はいつもこの季節の移り変わりを思う。夏の暑さが和らぎ、木々の葉が色づき始める頃。空が高く澄み、朝晩はひんやりとする。そんな中、朝日に照らされて輝く露が、何とも言えない美しさを見せる。
寒露とは、二十四節気のひとつで、毎年10月8日頃だ。この時期になると、空気中に冷気が漂い、地面に降りた露が冷やされて白くなる。それで、寒露と呼ばれるようになったそうだ。
寒露の頃は、自然界にさまざまな変化が訪れる。木々の葉が赤や黄に色づき、落ち葉が舞う。虫の声も一段と賑やかになる。そして、渡り鳥たちが南へ旅立つ季節でもある。
寒露の時期には、色々な風習がある。たとえば、菊の花を飾って無病息災を祈ったり、栗ご飯や柿を食べたりするそうだ。また、この頃から本格的な紅葉のシーズンが始まるので、紅葉狩りを楽しむ人も多いだろう。
私には、寒露にまつわる思い出がある。幼い頃、祖母に連れられて近くの山に紅葉狩りに行った。山頂から見渡す紅葉の絶景は、今でも忘れられない。真っ赤や黄金色の葉が山一面を埋め尽くし、まるで錦織りのように美しかった。
寒露の頃のしみじみとした空気感と、自然界の移り変わりを毎年楽しみにしている。そして、大切な人と過ごす時間にも、より一層の感慨深さを感じる季節だ。
今年はどんな寒露を迎えることになるだろう。季節の訪れに想いを馳せながら、自然の美しさを堪能したいと思う。