山手線 ヘビ




東京の象徴といえば、やはり山手線ではないだろうか。赤い車体に黒い帯を巻いた、あの独特のデザインは、東京の街並みに溶け込み、もはや切っても切り離せない存在となっている。
そんな山手線が、「ヘビ」と化す瞬間がある。それは、ラッシュアワーだ。通勤客を満載に詰め込んだ山手線が、プラットホームに滑り込んでくる。人々が一斉にドアから溢れ出し、まるでヘビが脱皮したかのように、プラットホームを埋め尽くす。
特に、渋谷駅はまさに「ヘビの棲家」である。平日朝の渋谷駅は、まるで朝の動物園のようだ。スーツ姿のサラリーマンが、学生、主婦、観光客、ありとあらゆる人々が、プラットホーム上で渦を巻いている。彼らは、電車に乗るために必死で駆け回り、時には割り込みをしたり、ぶつかったりする。私は、この朝の渋谷駅を「ヘビの巣窟」と呼んでいる。
この「ヘビ」を前にすると、私もヘビに噛まれたかのように、体がすくんでしまう。乗りたい電車が目の前に停車しているのに、ドアまで辿り着くのが一苦労だ。人混みを掻き分け、必死に前進する。まるで、障害物競走をしているような感覚だ。
しかし、この「ヘビ」との戦いは、ある種の快感でもある。人混みをかき分け、自分の番を待ち、無事電車に乗ることができたときの達成感は、何ものにも代えがたい。朝の渋谷駅で「ヘビ」と格闘することは、ある種の朝の儀式のようなものだ。
「山手線 ヘビ」は、東京の朝の風物詩である。ラッシュアワーの東京の街は、まさに「ヘビの都」だ。この「ヘビ」と格闘することによって、私は東京で生活することの実感を得ている。