御嶽山の噴火で天に帰った親友へ




10年前のあの日、御嶽山の山頂近くで噴火に巻き込まれた親友の雄介のことを思い出す。彼は登山が大好きで、いつも笑顔が絶えない明るい青年だった。

雄介は、私に登山を勧めてくれた張本人だった。
当時はまだ経験がなく、不安もあったが、彼の熱心な誘いに根負けして挑戦してみたのだ。御嶽山は雄介にとって馴染み深い山で、彼は手際よく登り、山頂からの景色を僕と共有してくれた。

あれから何年も経ち、登山はすっかり僕らの趣味になった。雄介と一緒に登った山は数え切れないほどだが、その中でも御嶽山は特別な場所だった。
山頂から眺める雄大な景色は、いつも僕らの心を癒してくれた。

しかし、そんな幸せな日々が、ある日突然終わりを迎えた。御嶽山の噴火だ。私は別の場所で登山をしていたが、噴火のニュースを聞いた時、真っ先に雄介が頭に浮かんだ。
すぐに彼に連絡を取ろうとしたが、繋がらない。不安は募るばかりだった。

数日後、雄介の遺体が見つかったと連絡を受けた。ショックと悲しみで押し潰されそうになった。
あんなに元気だった親友が、もうこの世にいないなんて、信じられなかった。

雄介の死を乗り越えるのは大変だったが、彼の遺志を継いで、今も登山を続けている。私には、雄介と一緒に見たあの山頂の絶景が、いつまでも心の中で輝き続けているからだ。

御嶽山の噴火から10年が経ち、今となっては雄介の死を静かに受け止めることができるようになった。
彼は天に帰っただけだと信じている。いつかまた、山頂で再会できることを夢見て、今日も僕は山を登り続けるだろう。