百条委員会




総理大臣の在任中に起こった国会における証人喚問や証拠提出の拒否に対して行われる特別委員会のことを「百条委員会」と呼びます。百条というのは、憲法第100条のことです。この条文には以下のように書かれています。

  • 両議院は、その同意に基づいて、国政に関する調査を行うことができる。
  • この場合は、各議院は、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

つまり、国会は総理大臣の証人喚問や証拠提出を要求することができるというわけです。そして、この権限に基づいて行われる特別委員会が「百条委員会」なのです。

百条委員会は、国会が政府を監視(チェック)するための重要な手段です。総理大臣が国会で虚偽の答弁をしたり、重要な情報を隠したりした場合、百条委員会を通じて責任を追及することができます。そのため、百条委員会は「国会における最終兵器」とも呼ばれます。

百条委員会は、野党から要求が出た場合に設置されます。野党が十分な理由があると判断すれば、本会議で百条委員会の設置を求める決議案を提出します。決議案が可決されれば、百条委員会が設置され、委員長や委員が選出されます。

百条委員会は、証人喚問や証拠提出を通じて事実関係を調査します。証人喚問では、総理大臣や関係者が委員会に出頭し、宣誓の上で質問に答えます。証拠提出では、政府が保有する文書や記録が委員会に提出されます。

百条委員会の調査結果は、報告書としてまとめられます。報告書には、調査の結果、事実関係の認定、総理大臣の責任の有無などが記載されています。報告書は本会議で採決され、可決されれば政府に対する拘束力があります。

百条委員会は、国会における重要な権限ですが、慎重に行使される必要があります。百条委員会の調査が長期化したり、政争に利用されたりすると、国会の機能が麻痺するおそれがあります。そのため、百条委員会は、本当に必要な場合にのみ設置されるべきです。

最近では、2020年に森友学園問題を調査する百条委員会が設置されました。この百条委員会は、安倍晋三首相の証人喚問も行い、大きな注目を集めました。

百条委員会は、国会が政府を監視するための重要な手段です。百条委員会を慎重かつ適正に行使することは、民主主義の健全な発展にとって不可欠です。