16年前の約束。それは、私の心に深く刻まれた、一生忘れられないものだった。友人との何気ない会話の中で交わしたその言葉は、その後の人生を大きく変えることになるとは、その時は知る由もなかった。
「16年後、またここで会おう」
約束を交わしたのは、とある山の上の展望台だった。高校生の私たちにとって、それは秘密の隠れ家のような場所だった。そこで語った夢や悩み、そして未来への期待。それらは、時空を超えて今も鮮明に蘇ってくる。
時は流れて16年。約束の日に、私は再び同じ展望台を訪れた。かつての友人とは音信不通になっていたが、あの約束だけは守りたいと思っていた。展望台に上ると、懐かしさと同時に、少し寂しい気持ちにもなった。
「あの約束、果たせたのかなぁ」
すると、私の後ろから声が聞こえた。
「約束、ちゃんと果たしたよ」
振り返ると、そこにはかつての友人だったあの人が立っていた。16年の歳月が経っても、その笑顔は変わらない。
「ずっと待ってたんだ」
私の目から涙がこぼれた。私たちは抱き合い、あの日の約束を思い返した。約束を交わした時から、私たちの人生は大きく変わった。友人は夢を叶えて起業し、私は家族を持ち、幸せに暮らしていた。
「あの約束があったから、今日まで頑張れたよ」
友人はそう言ってくれた。約束は単なる言葉ではない。それは、お互いの背中を押す支えとなり、人生を豊かにする力になる。16年という長い歳月を経て、私はその真実を心から実感した。
約束の場所を後にして、私は心の中で誓った。これからも、大切な人との約束を大切にして生きよう。それが、人生をより豊かで幸せなものにしてくれると信じているから。