埃っぽい床に散乱した衣類、シンクに山積みになった食器、そして部屋の隅には積み上げられた洗濯物。まるで嵐が吹き荒れた後の戦場のような惨状だ。
「西園寺さん、これってまさか…」彼女の部屋の惨状は、彼女の家事に対する姿勢を如実に物語っていた。彼女は「家事は女性がするもの」という考え方を強く持っていて、男性には家事をする義務はないと公言していた。
「家事は私の仕事じゃない。私は仕事に集中したいの」私は彼女の考え方に同意できなかった。確かに女性が家庭を担うべき時代はあったかもしれない。しかし現代社会では、男女が平等であるべきだし、家事も夫婦で協力して分担すべきだと考えている。
「西園寺さん、家事は男女関係なく、みんなで協力すればいいと思うんです」私は西園寺さんの部屋を掃除するのを手伝った。掃除をしている間、彼女と家事について語り合った。そして、家事が単なる「義務」ではなく、家族の健康や幸せを守るための大切な「愛」の表現であることに気づいた。
「西園寺さん、家事って実は愛情表現なんです」西園寺さんは私の言葉に少し驚いたようだった。そして、少し考えてからこう言った。
「そうね、確かにそうかもしれない」その後、西園寺さんは徐々に家事に協力してくれるようになった。完璧ではないかもしれないけれど、彼女の心の中には「家事」に対する新しい認識が芽生えたのだと思う。
西園寺さんは私にこう言った。
「あたし、家事が少し好きになったかも」「西園寺さんは家事をしない」
そんな噂は、今では笑い話になっている。