旅のスタイルは人それぞれでしょうが、青春18きっぷの醍醐味はやはり鈍行列車の旅。何時間もかけてレールの上をガタゴトと進み、のどかな景色を眺める。目的地に着くまでの時間が旅そのものなんです。
私は高校生の頃、青春18きっぷを使って一人旅をよくしていました。当時のカメラはフィルム式で、36枚しか撮れません。だから、1枚1枚を大切に撮り、旅の思い出を刻んでいきました。
ある夏の日、私は青春18きっぷで岡山県の備中高梁駅から広島県の三次駅まで旅をしました。途中、偶然同じ電車に乗り合わせた女子高生がいました。私たちはすぐに意気投合し、一緒に旅をすることになりました。
車窓には田園風景が広がり、のどかな川が流れていました。私たちは窓辺に並んで景色を眺めながら、夢や将来の話をたくさんしました。
三次駅に着いたのは夕方頃でした。私たちは駅前のカフェで少し休憩した後、また電車に乗って高梁駅へと戻りました。電車の中はすっかり暗くなり、私たちも眠りに落ちてしまいました。
気がつくと、電車は高梁駅に到着していました。私たちはホームに降り立ち、駅前の小さな公園で夜空を眺めました。空には満天の星が輝いていました。
「またどこかに行こうね」彼女はそう言って、私の手をぎゅっと握りました。その瞬間、私はこの旅が一生の思い出になることを確信しました。
それから何年か経ちましたが、私は今でも青春18きっぷで旅したあの日々を思い出すことがあります。それは、私にとってかけがえのない青春の1ページです。
もし今、青春18きっぷを使ってどこかに旅をするなら、私はあの女子高生と一緒に旅した道を辿りたいと思います。あの時のように、のんびりと景色を眺めながら、そして誰かと夢や未来を語り合いたい。
青春18きっぷの旅は、目的地に着くまでの時間が旅そのものです。その時間を誰とどのように過ごすかは、あなた次第。青春18きっぷを使って、あなただけの特別な旅に出かけてみませんか?