ゴングオンとは、何の変哲もない日常に突然現れる、突飛でシュールな出来事のことである。この言葉は、漫画家でエッセイストの高田ゲンキ氏が造語した。高田氏のエッセイ集『ゴングオン』に詳しく書かれている。
例えば、公園のベンチに座っていると、突然小鳥が自分の頭に糞を落としていく。あるいは、コンビニでレジに並んでいると、後ろの客が「アンパンマンカレーパンマン」と意味不明な言葉を連呼する。こんなふうに、ありふれた日常に唐突に闖入してくる、不可解で滑稽な出来事をゴングオンという。
ゴングオンは、日常に小さなスパイスを与えてくれる。普段は単調に流れる時間の中に、突如として現れる異物は、私たちの心を揺さぶり、クスッと笑わせてくれる。それは、つまらない日常に彩りを添える、ささやかな贈り物のようなものだ。
しかし、ゴングオンは単なる笑い話ではない。それは、私たちが生きているこの世界が、思っている以上に摩訶不思議で、不条理に満ちていることを教えてくれる。常識では測れない出来事が突如として起こる可能性があるという事実を、ゴングオンは私たちに突きつけてくるのだ。
ゴングオンを前にしたとき、私たちは二つの態度を取ることができる。一つは、常識にとらわれて頭を抱えてしまうこと。もう一つは、この不可解な出来事を面白がり、そのシュールさに身を委せることだ。
後者の態度を取ると、ゴングオンは単なる不条理ではなく、私たちの心を弾ませる小さな冒険になる。日常の退屈さを吹き飛ばし、世界の見方を広げてくれる。ゴングオンは、私たちが人生という名の物語の中で、柔軟かつ遊び心を持って生きることを教えてくれるのだ。
だから、もしゴングオンに出会ったら、決して眉をひそめないでほしい。むしろ、そのシュールさを楽しみ、世界の奇妙さと面白さを味わおうではないか。ゴングオンは、私たちの日常を彩る小さな贈り物であり、世界が思いがけない冒険に満ちていることを教えてくれる、貴重な存在なのだから。