凱旋門賞やブリーダーズカップなど、世界を舞台に活躍する日本馬が近年増えているのは、競馬ファンならご存知のことでしょう。こうした海外での活躍を意識した中距離競走を制覇したのが、カフェファラオなのです。
2020年のNHKマイルカップは、新型コロナウイルスの影響で6月に順延。例年であれば春開催のため、クラシック競走に対するトライアル的な意味合いが強くなりますが、この年は皐月賞、日本ダービー、菊花賞の3冠レースが終了後で、その意味合いは薄れていました。
それでも、このレースは例年以上の盛り上がりを見せました。その理由が、無敗の3連勝で臨んだコントレイルの存在です。皐月賞、日本ダービーとクラシック2冠を制覇し、無敗の3冠馬になることが期待されていました。
一方、カフェファラオはクラシックには縁がなく、前走の毎日杯を制したものの、皐月賞は6着に敗れていました。それでも、前走の内容は上々で、巻き返しを図るには絶好のチャンスでした。
レースは、好スタートを決めたコントレイルがハナに立ち、逃げの形に。カフェファラオは2番手につけ、コントレイルをマークする展開となりました。
最後の直線に入ると、コントレイルが後続を引き離して独走態勢。無敗の3冠が目前と思われました。しかし、ここでカフェファラオが驚異的な末脚を発揮。ゴール前でコントレイルに並びかけ、最後はハナ差で競り勝ちました。
単勝1番人気だったコントレイルの敗戦は波紋を広げ、カフェファラオの勝利は大金星と呼ばれました。この勝利によって、カフェファラオは海外遠征の切符を手に入れ、その後のサウジカップで2着に入るなど、世界の舞台でも活躍しました。
このNHKマイルカップは、コントレイルの無敗神話に終止符を打っただけでなく、カフェファラオの海外挑戦への扉を開くレースとなりました。今後の日本競馬の成長に大きく貢献した、歴史に残る一戦です。